近年、透明なのにコーヒーやジュースの味がするいわゆる「透明飲料」がたくさん販売されています。この透明飲料を飲んでいれば、歯の着色汚れを防ぐことができるのでは?と考えたことはありませんか?今話題の透明飲料を歯科医療の観点から、分析してみました。
流行している、透明飲料
少し前までは、無色透明の飲み物はミネラルウォーターやソーダ水などに限られていました。ジュースやコーヒーなどは、どれもそのもの本来の色や味から連想される色に着色料によって色付けがされており、無色透明の飲み物なんてほとんどありませんでした。
数年前ミネラルウォーターにフルーツフレーバーを加えた飲料が、大ヒットしたことをきっかけに、多くの飲料メーカーが無色透明の飲み物を販売するようになりました。
フルーツ風味のミネラルウォーター・ヨーグルト風味のミネラルウォーター・最近では、コーヒーやコーラといった本来濃い色が付いている飲み物やノンアルコールビールなどの無色化も進んでいます。
飲料メーカーがこのような無色透明の飲み物を開発している背景には、他類似商品との差別化や話題性を求めているものと考えられます。SNSによる情報拡散を期待して、写真映えする・話題になりそうな商品の開発を行い、多くの人の購買意欲を刺激しているのでしょう。
確かに、透明のコーヒーが売っていると人づてに聞けば、どんなものか1度飲んでみたくなりますよね。
また、オフィスや学校などで人目を気にせず好きなものが飲めるということも、日本で透明飲料が流行している理由ではないでしょうか?透明であれば、遠目には水を飲んでいるように見えます。甘い飲み物は堂々と飲みにくいという男性や、デスクがお客さんから見えるのでジュースを置きにくいという方から支持されています。
透明飲料の仕組みとは?
風味付けされたミネラルウォーターが無色透明なのは、ベースがミネラルウォーターということもあり疑問に思う方も少ないでしょう。
しかし、コーヒーやコーラといった本来の色が非常に濃い飲み物が無色透明になるというのには、どのようなカラクリがあるのでしょうか?
製品によって透明化する方法は異なりますが、大半の商品は“着色料をいれない”“蒸留させたものを再度透明化する”ことで透明化しているようです。
コーラの場合は、カラメル色素・炭酸飲料の場合は、アントシアニンやカロチンといった成分が着色料として使われています。これらを配合しないことで、透明なのに本来の味を楽しめるというカラクリです。
蒸留させるというのは、熱して蒸気になった所で風味付けをして再度液体に戻しているという方法を意味します。これは透明の紅茶などで使われる方法です。
他にもミルクティーやヨーグルトドリンクに関しては、ホエイとよばれる乳由来の成分を使って味を出しています。ホエイ自体は本来透明なので、色が付かないですね。
つまりは、本来の飲み物を透明にするのに特殊な薬剤や化学物質が使われているということではなく、もともと透明な状態で作りあげているということです。本来は含まれていた着色料を含んでいないため、従来製品よりも安全性が高いという商品もありました。
ステインと飲み物の関係性
『ステイン』という単語は、歯磨き粉などのCMで耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
ステインとは、つまりは着色汚れのことです。内側が白い湯呑みなどで毎日お茶を飲んでいると茶色く黄ばんできます。これは茶渋などの色素が汚れとしてこびりつくことが原因です。
歯がステインによって汚れるのも同じ仕組みです。
色素の強い飲み物や食べ物を慢性的に摂取することによって、歯に着色汚れが蓄積していきます。この汚れが溜まってステインとなり、歯のくすみや黄ばみといったトラブルを引き起こすのです。
ステインの主な原因はポリフェノールやタンニンという成分です。このポリフェノールは、唾液の成分であるペクリルと結合する性質があり、これがステインと呼ばれる着色汚れなのです。
緑茶や紅茶などお茶類全般・赤ワイン・コーヒー・ココアといった飲み物には多くのステインの原因物質であるポリフェノールやタンニンが含まれています。
もちろんケチャップや、ブルーベリー・ラズベリーといったベリー系を使った食べ物が原因となることもありますが、毎日毎日大量に摂取する人は少ないはずです。一方でお茶やコーヒー・コーラなど、毎日飲んでいるという方も多いでしょう。このような飲み物が、歯の見た目を損なうステイン汚れの原因となっているのです。
飲み物がステイン汚れに繋がる原因としては、食べた後に歯を磨かないことにあります。食後であれば、ブラッシングや口をゆすぐ人も多いでしょう。しかし、コーヒーやお茶を飲んだ後に毎回毎回口をゆすいでいる人はいないですよね。
透明飲料なら、ステインしらず?
日本でもすでに販売されていますが、無色透明のコーヒーというものがヨーロッパで開発されました。日本の透明飲料市場では、冒頭で解説したような周囲の目を気にするが故のニーズが開発のきっかけとなったと言われています。
しかし、ヨーロッパで開発された透明なコーヒーは“歯の着色汚れを解消するため”に開発されたのです。
しかし、ここで注目したいのは「透明な飲み物=ポリフェノールやタンニンが含まれていない」という考え方が成り立つのかどうかという点です。
確かに常飲するもの自体が透明で、製造過程で含まれる自然由来の色素や見た目の良さを目的とした着色料が含まれていないということは、これらが含まれている飲み物と比べると着色の可能性は少なくなります。
一方でポリフェノールやタンニンを成分として含んでいる以上、着色の可能性はゼロではありません。これらの成分には、コーヒーや紅茶・ワイン・チョコレートで感じることのできる独特の苦みや渋みがあります。
そのため、これらの成分を完全に取り除いてしまうと味わいが大きく損なわれてしまうので、各社取り除くことはできないようです。
つまり、普段飲んでいるものを透明飲料に変えることで色素や着色料による歯の変色を防ぐことはできます。しかし、ステインを完全に作らせないことは成分上不可能なので、透明な飲料であっても歯の黄ばみは発生するでしょう。
飲み物の色がそのまま着色するのが着色汚れなのではなく、飲み物や食べ物に含まれている成分が皮膜に吸収されて付着することで着色するという点がポイントです。
ステインを作らせない為には、どうすればよいの?
残念ながら、透明飲料にもポリフェノールやタンニンが含まれており着色の可能性はゼロではありませんでした。では、飲み物から歯の着色を守るためにはどうすればよいのでしょうか?
・ミネラルウォーターや水道水で口をゆすぐ
歯磨きをして、歯の表面についた着色の原因物質を取り除くことができれば良いのですが、仕事中などこまめに歯を磨くことはできないというかたの方が多いでしょう。
そのような時は、透明飲料ではなくミネラルウォーターや水道水といった水を使って口をブクブクとゆすいであげましょう。
・ステイン除去効果のある歯磨き粉を使う
「研磨剤は歯を傷付けるから良くない」と思っている人も多いでしょう。研磨剤が多くの歯磨き粉に含まれている理由は、歯の表面についたステインなどの着色汚れを効率よく除去してくれる効果があるからです。
上記のように、こまめに口をゆすぐことはステインを作らせないために有効な手立てです。しかし、飲み物の味を楽しんでいる人にとってはあまりやりたくない行動ですよね。
ステインは除去できないわけではありません。1日好きな飲み物を楽しんだ後には、就寝前にステイン除去効果のある歯磨き粉で丁寧に歯をブラッシングしてあげましょう。それだけでも黄ばみを最小限に抑えることができるでしょう。
デメリットもあるので、要注意!
ステインの発生を完全にゼロにはできていないとはいえ、着色料が含まれていない分普通の飲み物と比べれば歯の着色リスクを下げることはできていると考えられます。しかし、そんな透明飲料には歯に対するデメリットもありますので、常飲する際には注意が必要です。
色が付いてない分、安心して飲む量が増えてしまうことが考えられます。無糖やノンシュガーの製品であれば問題ないのですが、砂糖が含まれている製品ですと常飲することで虫歯のリスクが非常に高まります。透明であるが故に、ミネラルウォーターと同じ感覚で喉が渇いたら透明飲料を飲んでいるという声がSNSなどで多く見られます。
製品によっては、糖分が大量に含まれているので注意しましょう。
まとめ
食事は視覚も重要なポイントと言われるように、透明になると爽やかで健康に良さそうだと感じませんか?
歯科医学的見解としては、着色のリスクは減らせるもののステインの原因物質が含まれている以上、歯の黄ばみの原因となります。着色が気になる人は透明だからと気を抜かず、しっかりと日々のケアを怠らないことが大切です。
付いてしまった着色汚れは、歯科医院でのクリーニングで落とすことができますので、定期検診を兼ねて汚れを落としてもらいましょう。
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